「金継ぎとはどのような技術?」
「金継ぎで器が修復できるって本当?」
最近じわじわと注目を集めている金継ぎ(きんつぎ)とは、どのような技術なのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
金継ぎとは簡単に言うと、室町時代から伝わる器の修復技術です。金色の線が特徴で、器の割れやひびさえも芸術的に見せることができます。金継ぎをするにはメリットや手順を把握して、適切な方法で行うことが欠かせません。
そこでこの記事では金継ぎの概要や金継ぎをするメリット、金継ぎの詳しい方法をまとめてご紹介します。
この記事を読んで分かること ・金継ぎとは ・金継ぎを行う3つのメリット ・金継ぎに必要な材料 ・金継ぎの手順 ・いとをかしの「生涯破損保証サービス」は金継ぎが無料 |
この記事を最後まで読めば金継ぎをするメリットや詳しい手順が把握でき、金継ぎをしてみたいと思えるはずです。
金継ぎを知ると和食器が長く愛用できるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。
1.金継ぎとは
金継ぎ(きんつぎ)とは、室町時代頃から伝わる伝統的な器の修復技術です。
金継ぎは、器の割れた部分やヒビが入った部分に漆を塗って接着をします。その上に金(または他の金属粉)の線で装飾を施し、修復した部分を一つのデザインとして見せるところが特徴です。
「2.金継ぎを行う3つのメリット」で詳しく解説しますが、金継ぎをすれば割れてしまった器が再び使用できるようになります。
それだけでなく金継ぎにより加わった金の線が器に新たな表情を与えて、器の価値そのものを高めてくれるところが大きな魅力です。
1-1 .金継ぎができる器
金継ぎは漆で接着ができる素材であれば、基本的に利用できます。
【金継ぎができる器】 ・和食器などの陶器 ・ガラス ・漆器 ・木器(材質や器による)など |
ただし、器の使い方によっては金継ぎができません。
【金継ぎができない使い方】 ・直火にかける場合(土鍋や琺瑯鍋など) ・常に蒸気に触れる場合(急須や鍋の蓋) ・常に水に浸かる場合(花瓶など) |
金継ぎができる器か不安な場合は、器を購入した食器店に問い合わせてみるといいでしょう。
2.金継ぎを行う3つのメリット
金継ぎとはどのようなものか把握できたところで、気になるのは金継ぎをするメリットです。金継ぎのメリットとしては、次の3つが挙げられます。
・割れてしまった器を修復し長く愛用できる
・口に入っても安全な材料のみで修復をする
・器に新たな表情や価値をプラスできる
それぞれどのようなメリットなのか、詳しくチェックしていきましょう。
2-1.割れてしまった器を修復し長く愛用できる
金継ぎをする最大のメリットは、大切な器を長く愛用できるところです。
現代のように物が溢れていなかった時代は、壊れたものは直して使うことが当たり前でした。古来の日本人が持っていた、物を大切にする気持ちから生まれたのが金継ぎです。
金継ぎをすれば器の修復ができ、もう一度使用できるようになります。金継ぎは大切な器を長く愛用するための技術として、昨今再び注目を集めているのです。
2-2 .口に入っても安全な材料のみで修復をする
金継ぎは、口に入っても問題のない安全性の高い原材料を使用しています。例えば、接着剤の役割を果たす小麦粉と漆は、自然由来の材料です。
小麦粉は小麦から、漆は漆の木の樹液が原材料となります。器は料理を盛ったり直接口に付けたりするので、健康を害する方法で修復したくないと考える方は多いかと思います。
金継ぎは日本に古来よりある安全性の高い材料のみを使うので、万が一口に入っても安心です。
2-3. 器に新たな表情や価値をプラスできる
現在の金継ぎの技術は、室町時代のお茶の文化から生まれたと言われています。(漆で器を修復するだけの技術は、縄文時代から行われていたそうです)
割れ面に沿って走る金の線には、修復した器のありのままの様子を受け入れる茶道の精神が宿っています。
金継ぎにより新たな表情を与えられた器は、次第に芸術的な価値があると評価されるようになりました。実際に重要文化財に指定されている本阿弥光悦作の楽茶碗(銘「雪峰」 )は、大胆な金継ぎが器の価値を高めています。
割れた器も金継ぎをすることで美しいデザインが加わり、器として新たな価値がプラスできるところも大きな魅力だと言えるでしょう。
3.金継ぎに必要な材料
金継ぎには、主に下記の材料を使います。
【金継ぎの材料】 ・漆 :漆の木から抽出する樹液。一度硬化すると溶けない性質を持つので、接着剤として使用されています。防水、防腐、防虫効果にも長けており、長期間劣化しないところも金継ぎに選ばれる理由です。 |
【金継ぎの道具】 ・ヘラ |
「2-2.口に入っても安全な材料のみで修復をする」でも解説したように、日本に古くから存在する自然由来の材料を使います。
金継ぎに必要な道具は、材料を混ぜるヘラと木版、金の線を描く筆などが必要です。いよいよ次の章では、金継ぎの詳しい手順を解説していきます。
4 .金継ぎの手順
ここでは、器にひびが入った場合と器が割れてしまった場合の金継ぎの手順をご紹介します。金継ぎは材料と道具、適切な手順さえ分かれば誰でもチャレンジできるので、ぜひチェックしてみてください。
4- 1.器にひびが入った場合
器にひびが入ったときは、そのまま使用すると割れたり欠けたりする可能性があります。びび割れが広がらないうちに、金継ぎをして修復することが大切です。
器にひびが入ったときは、下記の手順で金継ぎをします。
①器のひびの上をなぞるように、ダイヤモンドやすりで弱くこすります。傷をつけることで、接着剤がつきやすくなります。
ひびが入っている部分が見えにくい場合はマジックでなぞり、ひびが分かるようにしましょう。
②次に、ひびを埋める接着剤を作ります。漆と小麦粉、水を混ぜ合わせてペースト状になるまで練ります。
③ペーストをヘラの先につけて、ひびが入った部分の凹凸を埋めます。ひび割れしている部分が少ない場合は、綿棒やつまようじで埋めることも可能です。
④凹凸を埋めたら、しっかりと乾燥させます。
⑤ペーストが完全に乾いたら、削刀と耐水ペーパーを使い余分なペーストを落とします。器に馴染むように整えていきます。
⑥修復作業が終わったら、金の線を描くデコレーション作業です。ひびの上をなぞるように、漆を使い線を描きます。
⑦漆を3層ほど重ねたら、最後に金粉をかけて仕上げます。
4 -2.器が割れた場合
器が割れて手元に破片がある場合は、下記の手順で金継ぎをします。
①まずは、割れた破片をつなぐ接着剤を作ります。漆と小麦粉、水を混ぜ合わせてペースト状になるまで練ります。
②①で作った接着剤を割れた器の断面に塗って、つなぎ合わせていきます。瞬間接着剤とは違い、短時間内であれば何度もやり直すことが可能です。
③すべての破片をつなぎ合わせたら、完全に乾燥させます。このときに、マスキングテープで仮止めをしておくと安心。日本の梅雨~夏の気候で、2週間程度が目安です。
④接着剤が完全に乾いたら、次に小さな隙間や凹凸を埋めていきます。砥の粉と水、漆を混ぜてペースト状にしたものを使い、隙間や凹凸を平らにします。
⑤隙間や凹凸を埋めたら、日本の梅雨~夏の気候で1日程度乾燥させます。
⑥ペーストが完全に乾いたら、削刀と耐水ペーパーを使いはみ出したペーストを落とします。④〜⑥の工程を何度か繰り返して、凹凸をなくしペーストが器に馴染むよう形を整えます。
⑦修復作業が終わったら、金の線を描くデコレーション作業です。器にひびが入ったときと同様に、修復した部分に漆を使い線を描きます。
⑧漆を3層ほど重ねたら、最後に金粉をかけて仕上げます。
この手順で金継ぎをすれば、バラバラに割れた器もきれいに修復することが可能です。修復部分が多ければ多いほど時間を要するので、根気よく取り組みましょう。
※今回ご紹介した金継ぎの手順は一例です。
5.いとをかしの「生涯破損保証サービス」は金継ぎが無料
金継ぎは誰でも手軽にチャレンジすることができますが、きれいに仕上げるには技術と経験が必要です。
いとをかしでは大切な和食器を長く愛用するために、「生涯破損保証サービス」を導入しています。
【いとをかしの生涯破損保証サービス】 ・割れた器を金継ぎで直す |
いとをかしで購入した和食器が割れた場合は、破片と和食器を郵送すると無料で金継ぎが受けられます。和食器の状態に合わせて経験が豊富な職人が丁寧に金継ぎをするため、新たな価値を追加してお戻しをします。
破損が激しく金継ぎでの修復が難しいと判断した際には、割れた和食器を買い取りすることも可能です。
和食器が割れたときに自分で金継ぎをしようとすると材料や道具の費用、正しい知識が必要となります。
いとをかしではお客様が手間や時間をかけなくても大切な和食器を長く愛用できるように、精一杯サポートさせていただきます。
詳しくは、いとをかしの「生涯破損保証サービス」をご覧ください。
6.まとめ
和食器が割れてしまっても金継ぎで修復をすれば、再び使用できるようになります。それだけでなく、割れ目やひび割れた部分に描く金の線がデザインとなり、器に新たな価値を与えます。
いとをかしで購入した和食器は生涯破損保証サービスを利用すると、金継ぎが無料で受けられます。経験と知識のある職人の手で割れた和食器を美しく修復するので、ぜひ利用してみてください。