「お気に入りの食器が割れてしまった…」そのショックは、器を大切にしている方ほど大きいものです。
割れた食器を直す方法には、いくつかの選択肢があります。ただ、どれを選ぶかは「見た目を整えたいだけ」なのか「食器として安全に使い続けたい」のかで、大きく変わります。
料理人として長年厨房に立ち、盛りつけの舞台として器と向き合ってきた私たちは、「器が割れた=終わり」とは考えていません。正しい方法を選べば、その器はまた食卓へ戻ってくることができます。
この記事では、割れた食器を直す4つの方法(金継ぎ・接着剤・パテ・買い替え)を比較し、それぞれの費用・安全性・仕上がりをわかりやすく解説します。あなたと器に合った最適な方法が見つかります。
金継ぎの費用・やり方・依頼先は、金継ぎ 完全ガイドにまとめています。あわせてご覧ください。
方法別の比較一覧

4つの方法の特徴を先にまとめました。
詳細は各方法の解説をご覧ください。
| 方法 | 費用 | 時間 | 安全性 | 美しさ |
|---|---|---|---|---|
| 金継ぎ | 3,000〜20,000円 | 1〜3ヶ月 | ◎ | ◎ |
| 接着剤 | 数百円 | 数時間 | × | △ |
| パテ | 500〜2,000円 | 1〜2日 | △ | △ |
| 買い替え | 器による | 即日 | ◎ | ◎ |
4つの方法を、それぞれ詳しく見ていきましょう。
方法1: 金継ぎで直す

金継ぎは、割れた器を直す方法の中で最も「器を活かす」選択です。
費用と時間はかかりますが、器を食卓へ戻せる唯一の方法でもあります。
金継ぎとは
金継ぎは、漆で器を接着し、継ぎ目を金粉で装飾する日本の伝統技術です。
傷を隠すのではなく、傷を新しい美しさとして活かすという考え方が特徴です。
金継ぎのメリット
食器として安全に使い続けられます。
天然素材(漆・金粉)を使用するため、食品に触れても安心です。
また、修復によって傷が「景色」となり、世界に一つだけの器が生まれます。
捨てずに使い続けるという点でサステナブルな選択でもあります。
金継ぎのデメリット
費用がかかります(3,000円〜20,000円)。
仕上がりまでに時間がかかります(1〜3ヶ月)。
依頼先を探す手間もあります。
簡易金継ぎキットという選択肢
近年、初心者でも扱いやすい金継ぎキットが広く販売されています。
エポキシパテや合成漆を使った「簡易金継ぎ」は、費用が2,000〜5,000円程度で、本格的な依頼より手軽に始められます。
ただし、合成素材を使うため
本漆に比べて耐久性・食品安全性の保証が低い点に注意が必要です。
「まず自分で試してみたい」という方には選択肢のひとつですが、思い入れのある大切な器には職人への依頼を優先することをおすすめします。
金継ぎがおすすめの方
思い出のある大切な器や高価な器、食器として長く使い続けたい器に向いています。
費用と時間をかけてでも「この器を残したい」と思える器には、迷わず金継ぎをおすすめします。
方法2: 接着剤で直す

市販の接着剤を使って自分で修復する方法です。
手軽さと低コストが魅力ですが、食器への使用には注意が必要です。
接着剤の種類と選び方
市販の接着剤には主に「エポキシ系(2液混合タイプ)」と「瞬間接着剤(シアノアクリレート系)」の2種類があります。
エポキシ系は硬化後の強度が高く、割れた部品の接合に向いています。
瞬間接着剤は手軽ですが、衝撃に弱く食器への使用には不向きです。
いずれも
食品安全性の表示がない製品は、飲食用食器への使用を避けてください。
製品パッケージの「用途」欄を必ず確認することが重要です。
接着剤修復のメリット
費用が安い(数百円〜1,000円程度)ことが最大のメリットです。
すぐに修復できるため、急いでいる場合や応急処置として有効です。
工具も不要で、自宅で簡単にできます。
接着剤修復のデメリット
食品に接触する部分には使えません。
市販の接着剤のほとんどは食品安全性が保証されていないため、飲食用の食器への使用は危険です。
また見た目が美しくないため、継ぎ目が目立つことがほとんどです。
接着剤修復がおすすめの方
観賞用・インテリア用の器や、一時的な応急処置に限定して使うことをおすすめします。
食器として使い続けるつもりであれば、金継ぎを選んでください。
方法3: パテで直す

欠けた部分をパテで埋めて修復する方法です。
割れよりも「欠け」の修復に向いており、小さなヒビ割れへの応急処置にも使われます。
パテの種類と特徴
陶器修復に使われるパテは、主に「エポキシパテ」と「陶器補修専用パテ」の2種類です。
エポキシパテは2種類を混ぜて使う樹脂製のパテで、硬化後に高い強度を発揮します。
陶器専用パテは色合わせがしやすく、欠けた部分を目立ちにくくする効果があります。
ただし、いずれも
食品安全性が明記されていないものは食器への使用を控えるべきです。
パテ修復のメリット
接着剤より費用はかかりますが(500〜2,000円程度)、欠けの形状に合わせて成形できるのが特徴です。
乾燥後に色を塗れるタイプもあり、目立ちにくくできる場合もあります。
パテ修復のデメリット
食器用でないパテは安全性に問題があります。
色合わせが難しく、元の器の色に完全に合わせることは困難です。
割れには不向きで、欠けの補填に限られます。
パテ修復がおすすめの方
観賞用の器の小さな欠けを目立たなくしたい場合に向いています。
食器として使う場合は、食品安全性が証明されたパテ以外は使用しないでください。
方法4: 買い替える

修復せず、新しい器を購入する方法です。
場合によっては最もシンプルな解決策になります。
買い替えのメリット
手間がかからず、新品の状態で使い始められます。
量産品の器であれば、同じ器が手に入ることも多いです。
買い替えのデメリット
思い出のある器や限定品は同じものが手に入らないことがほとんどです。
廃棄による環境負荷があります。
また「修復できたはずなのに」という後悔が残る場合もあります。
買い替えがおすすめの方
量産品で修復するより安く買えるケースや、思い入れが少ない器の場合に向いています。
いとをかしが選ばれる理由

4つの方法を比較したとき、大切な器には金継ぎが最もおすすめです。
そして、いとをかしでご購入いただいた器には、最初から
生涯破損保証が付いています。
割れても無料で金継ぎ修復
いとをかしでご購入いただいた器が割れた場合、
無料で金継ぎ修復をいたします。
「割れたら終わり」ではなく、「割れたらまた新しい景色が生まれる」という考え方を大切にしています。
修復のご依頼は、お問い合わせフォームまたはメールにて承っています。
破損した器の写真をお送りいただければ、修復可能かどうかを確認いたします。
料理人の目線で選んだ器
私たちが選ぶ器は、料理を盛ったときに食卓が美しくなるかどうかが基準です。
器だけが良くても意味がない。
料理と一体になって初めて完成する。
その思いで、日本各地の産地を訪れ、職人との対話を重ねながら一つひとつ厳選しています。
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よくある質問(FAQ)
Q. 割れた食器を金継ぎ以外で食器として使えるようにする方法はありますか?
食品安全性が証明された食器用接着剤を使えば一定の修復はできますが、耐久性・安全性ともに金継ぎには及びません。食器として長く安全に使い続けたい場合は、金継ぎをおすすめします。自己判断での修復は食品安全上のリスクを伴う場合があるため、まず専門家への相談をお考えください。
Q. 割れた食器は捨てるべきですか?
必ずしもそうではありません。金継ぎで修復できる場合は、捨てる前にまず専門工房に相談してみましょう。破片が揃っていれば修復できる可能性が高く、いとをかしでご購入いただいた器であれば写真でのご相談から無料で承っています。
Q. 割れた食器の処分方法を教えてください。
不燃ごみとして処分するのが一般的です。怪我をしないよう新聞紙などに包んでから袋に入れてください。自治体によって分別方法が異なるため、お住まいの地域のルールを事前にご確認ください。
Q. 粉々に割れた器でも金継ぎできますか?
破片がすべて揃っていれば修復できる可能性があります。まずは破損した状態の写真を専門工房に送って相談してみてください。いとをかしでは、ご購入いただいた器の金継ぎ修復について写真でのご相談を受け付けています。
Q. 金継ぎした器は食洗機で使えますか?
金継ぎした器の食洗機使用はおすすめしません。高温・急激な温度変化・強い洗剤は漆や金の劣化につながります。やさしく手洗いすることで、美しい状態を長く保てます。
まとめ

割れた食器を直す方法は4つあります。
食器として安全に使い続けたいなら、
金継ぎが最もおすすめです。
費用と時間はかかりますが、器を最も豊かに活かせる選択です。
急ぎの応急処置や観賞用なら、接着剤やパテも選択肢になります。その際は必ず
食品安全性が確認された製品を選んでください。
量産品で思い入れが少ない場合は、買い替えがシンプルな解決策です。
「この器をどうしたいか」という気持ちを大切に、最適な方法を選んでください。
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いとをかし編集部は、元料理人のメンバーを中心に、器と食の関係を深く探求しながら伝統工芸品の魅力を発信しています。
「器は料理を魅せる舞台であり、すべてが揃って初めて完成する」という思いを大切に、日本各地の産地を訪れ、職人との対話を重ねてきました。
本物の器が食卓にもたらす豊かさを、ひとりでも多くの方に届けたいと考えています。