「お気に入りの和食器、正しく洗えていますか?」
せっかく手に入れた陶器の飯碗や漆器のお椀も、洗い方を間違えると釉薬が傷んだり、漆が剥がれたりして寿命を縮めてしまいます。
和食器の正しい洗い方は素材によって異なり、陶器・磁器・漆器それぞれに適したお手入れ方法があります。
この記事では、元料理人として数百枚の器を日々扱ってきた経験をもとに、素材別の洗い方の手順、やってはいけないNG行為、保管のコツまで丁寧に解説します。毎日のちょっとした心がけで、大切な器を10年、20年と美しく使い続けることができます。
すべての和食器に共通する洗い方の基本

素材ごとの洗い方を解説する前に、
すべての和食器に共通する3つの基本を押さえておきましょう。この基本を守るだけで、器の寿命は格段に延びます。
使用後はなるべく早く洗う
食事が終わったら、
なるべく早めに洗うことが大切です。汚れが固まると落としにくくなり、無理にこすることで器を傷める原因になります。
特にソースや醤油など色の濃い汚れは、放置すると陶器に染み込みやすくなります。すぐに洗えない場合は、水かぬるま湯に浸けておくだけでも汚れの固着を防げます。
ぬるま湯と中性洗剤を使う
和食器の洗い方の基本は、
ぬるま湯(30〜40度)と食器用中性洗剤の組み合わせです。
熱湯は急激な温度変化を引き起こし、ひびや割れの原因になることがあります。特に陶器や漆器は温度変化に敏感です。また、強アルカリ性・強酸性の洗剤は釉薬を傷めたり、漆を変色させることがあるため、必ず中性洗剤を選んでください。
柔らかいスポンジでやさしく洗う
硬いスチールウールや研磨剤入りのスポンジは、
絶対に使わないでください。柔らかいスポンジや布でやさしく洗うことで、釉薬の光沢を保ちながら汚れを落とせます。
料理人として厨房に立っていた頃、私たちは和食器用のスポンジを別に用意していました。日常の食卓でも、和食器専用のスポンジを1つ持っておくと安心です。
陶器の正しい洗い方とお手入れ

陶器は和食器の中でも最も身近な存在ですが、実は
磁器や漆器に比べてデリケートな素材です。吸水性が高いため、洗い方を間違えると汚れやにおいが染み込んでしまいます。
陶器を洗う前に:使用前の「水通し」
陶器は磁器と比べて吸水性が高いため、
使用前に水でさっと濡らしてから料理を盛るのがおすすめです。器の表面が水で覆われることで、汚れやにおいが染み込みにくくなります。
特に粉引(こびき)や素焼き感のある器は吸水性が高いため、この「水通し」を習慣にするだけで、器の汚れが格段に落ちやすくなります。
陶器の洗い方の手順
1. ぬるま湯で汚れをふやかす(30秒〜1分)
2. 食器用中性洗剤を付けた柔らかいスポンジでやさしく洗う
3. ぬるま湯で十分にすすぐ(洗剤残りを防ぐ)
4. 乾いた布またはタオルで水気を拭き取る
5. 風通しの良い場所で自然乾燥させる
特に高台(底の部分)は乾きにくいため、逆さにして乾燥させる習慣をつけてください。濡れたまま収納すると、カビが生じることがあります。
陶器に避けるべき洗い方
| NG行為 |
理由 |
| 食洗機の使用 |
高温・高水圧で釉薬が傷む恐れがある(対応製品を除く) |
| 硬いたわし・スチールウール |
釉薬の表面を傷つけ、光沢が失われる |
| 長時間の水漬け |
吸水しすぎてカビやにおいの原因になる |
| 塩素系漂白剤の使用 |
釉薬を傷め、色落ちの原因になる |
陶器の目止め(使い始めのひと手間)
新しい陶器を使い始める前に、
目止め(めどめ)を行うとシミやにおい移りを防げます。すべての陶器に必要なわけではありませんが、粉引や素焼き感の強い器には特に有効です。
目止めの手順
1. 器をぬるま湯でさっと洗い、汚れを落とす
2. 鍋に器を入れ、米のとぎ汁(または片栗粉小さじ1を溶かした水)をかぶるくらい注ぐ
3. 弱火にかけ、沸騰後10〜15分ほど煮る
4. 火を止め、冷めるまでそのまま放置する
5. 取り出して自然乾燥させれば完了
購入時に「目止めが必要」と案内がある場合は、必ず最初の使用前に行ってください。
磁器の正しい洗い方とお手入れ

磁器は陶器に比べて
吸水性が低く、硬い素材です。日常の扱いやすさという点では、和食器の中で最も気軽に使える素材といえます。
磁器の洗い方の手順
1. 通常の食器と同様に、中性洗剤を付けたスポンジで洗う
2. 食洗機対応品であれば食洗機も使用可能
3. すすいだ後、乾いた布で拭くと水垢が残らずきれいに仕上がる
磁器は陶器ほど神経質になる必要はありませんが、
「磁器だから雑に扱っても大丈夫」というわけではありません。特に薄く繊細な磁器(有田焼や九谷焼の薄造りなど)は、衝撃に弱いため丁寧に扱ってください。
金・銀の絵付き磁器の注意点
金彩・銀彩が施された磁器は、特別な注意が必要です。
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電子レンジ使用不可:金属成分が火花を起こす危険がある
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食洗機は避ける:高温と洗剤で金彩・銀彩が剥がれることがある
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柔らかいスポンジで手洗い:絵付け部分を強くこすらない
購入時に必ず取扱説明を確認しましょう。
磁器の茶渋・コーヒー汚れの落とし方
白い磁器のマグカップや湯呑みに付きやすい茶渋やコーヒー汚れは、以下の方法で落とせます。
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重曹を使う方法:ぬるま湯に重曹(大さじ1程度)を溶かし、30分〜1時間浸け置きしてからスポンジで洗う
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酸素系漂白剤を使う方法:ぬるま湯に酸素系漂白剤を溶かし、1〜2時間浸け置き後、十分にすすぐ
塩素系漂白剤は釉薬を傷める可能性があるため、酸素系を選んでください。
漆器の正しい洗い方とお手入れ

漆器は天然の漆で仕上げられた、
和食器の中で最もデリケートな素材です。正しく扱えば何十年も美しさを保てますが、間違った扱いで傷むと修復が困難になることもあります。
漆器の洗い方の手順
1. 食後なるべく早く洗う(汚れが固まると落ちにくい)
2. ぬるま湯と中性洗剤を付けた
柔らかい布またはスポンジでやさしく洗う
3. ぬるま湯でしっかりすすぐ
4.
乾いた柔らかい布で水気を完全に拭き取る(自然乾燥させない)
漆器は陶器・磁器と違い、洗った後に
布で水気をしっかり拭き取ることが重要です。水滴を放置すると、白い曇り(水垢)が残ることがあります。
漆器に絶対やってはいけない5つのこと
| 禁止事項 |
理由 |
| 食洗機の使用 |
高温・強力な洗剤・乾燥機能で漆が剥がれる |
| 電子レンジの使用 |
漆が焦げたり、木地が変形する |
| 乾燥機・直射日光での乾燥 |
漆が乾燥してひび割れ、変色する |
| 長時間の水漬け |
木地が水を吸って変形・膨張する |
| 硬いスポンジ・たわしの使用 |
漆の表面に傷がつく |
漆器の保管方法
漆器を保管する際は、以下のポイントを守ってください。
- 器と器の間に
柔らかい布や和紙を挟んで重ねる
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直射日光が当たらない場所に保管する(紫外線で漆が変色する)
- 通気性のよい場所に置き、密閉された場所は避ける
- 長期間使わない場合は、時々取り出して空気に触れさせる
漆器は「使うこと」が最良のお手入れです。使い込むほどに漆の光沢が増し、美しい艶が生まれます。特別な日だけでなく、ぜひ日常的に使ってあげてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 陶器に茶渋がついてしまいました。どう落とせばいいですか?
陶器についた茶渋は、
重曹を使うと効果的です。ぬるま湯に重曹を溶かし、30分〜1時間浸けてからスポンジでやさしく洗いましょう。酸素系漂白剤を使う方法もありますが、塩素系漂白剤は釉薬を傷めるため避けてください。漂白後はしっかりとすすぎ、日陰で乾燥させてください。
Q. 陶器を食洗機で洗っても大丈夫ですか?
「食洗機対応」と明記されている陶器は使用できます。ただし、一般的な陶器は食洗機での洗浄で
釉薬が傷んだり、器に細かいひびが入ることがあります。食洗機対応の表記がない場合は手洗いをおすすめします。特に作家ものや手仕事品は、手洗いが原則です。
Q. 和食器を長持ちさせるための保管方法は?
洗った後は
十分に乾燥させてから収納してください。湿気が残ったまま重ねると、カビやにおいの原因になります。陶器同士を重ねる場合は、器の間に布や紙を挟むと傷防止になります。直射日光や高温多湿の場所は避け、通気性の良い場所に保管しましょう。
Q. 食器用洗剤はどの種類を選べばいいですか?
食器用の中性洗剤を選んでください。パッケージに「中性」と記載されているものが安全です。弱アルカリ性の洗剤は油汚れに強い反面、陶器の釉薬や漆器の漆を傷める可能性があります。和食器を日常的に使う方は、中性洗剤を常備しておくと安心です。
Q. 割れてしまった和食器は修理できますか?
はい、
金継ぎ(きんつぎ)という日本伝統の修復技法で修理できます。漆で割れや欠けを接着し、金粉で仕上げることで、新たな美しさが加わります。いとをかしでは、ご購入いただいた器の金継ぎを無料で承っています。
いとをかしが選ばれる理由

いとをかしでは、器をお届けする際に
素材別のお手入れガイドをご提供しています。陶器・磁器・漆器それぞれの正しい洗い方と保管方法を、わかりやすくまとめた資料です。
また、万が一お気に入りの器が割れた場合も、
生涯破損保証で無料の金継ぎ修復を承ります。金継ぎによって新たな美が加わった器は、割れる前よりも愛着が深まるものです。
元料理人として日々器と向き合ってきた私たちだからこそ、器の正しい扱い方やお手入れ方法についてもお客様をサポートできます。日々のお手入れと万が一の保証、両面から器との長い関係をお守りします。
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まとめ:正しい洗い方で、和食器を一生の相棒に
和食器の正しい洗い方のポイントをまとめます。
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共通の基本:使用後すぐに洗う、ぬるま湯と中性洗剤、柔らかいスポンジ
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陶器:吸水性が高いため、使用前の水通しと十分な乾燥が重要。目止めも有効
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磁器:比較的扱いやすく食洗機対応品も多い。金彩・銀彩は手洗い必須
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漆器:最もデリケート。手洗い後に布で拭き取り、食洗機・電子レンジは禁止
毎日のちょっとした心がけの積み重ねが、器の美しさと寿命を大きく左右します。大切な和食器を正しくケアして、長く使い続けてください。
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*いとをかし編集部は、元料理人のメンバーを中心に、器と食の関係を深く探求しながら伝統工芸品の魅力を発信しています。*