備前焼 使い始めに関するいとをかしの器

備前焼の使い始め完全ガイド|元料理人が教える正しい手順とお手入れ

備前焼を手に入れたとき、最初にどう扱えばいいか迷ったことはありませんか。「目止めは必要?」「食洗機は使える?」「どうすれば長く美しく使い続けられる?」——こうした疑問を持つ方は多いはずです。

私たちいとをかし編集部では、元料理人の視点から数多くの器を実際に使い、産地にも足を運んできました。備前焼の使い始めの最初の一手間が、その後の「育ち」を大きく左右します。この記事では、備前焼の使い始めに必要な手順から日常のお手入れ、長く使い込む秘訣まで、丁寧に解説します。

備前焼とは?釉薬なしで焼き締める岡山の陶器

使い始めの手順を理解するためにも、まず備前焼の「素性」を知っておくことが大切です。他の陶器と何が違うのか——その製法の特徴が、扱い方のすべての根拠になります。

釉薬を使わない「焼き締め」の器

備前焼は、岡山県備前市を中心に作られる日本六古窯のひとつです。釉薬を一切使わず、良質な備前の粘土(陶土)だけを1,200〜1,300℃の高温で2週間近く焼き締めるのが最大の特徴です。この長時間の焼成により、陶土は強く締まり、水分をほとんど吸わない緻密な焼き物になります。

表面に出る「桟切り」「胡麻」「牡丹餅」などの模様は、窯の中の炎の流れや灰が自然に作り出したものです。ひとつとして同じ表情がなく、窯の中で生まれた一期一会の美しさが備前焼の魅力です。

使い込むほど「育つ」器

備前焼は、使い始めた直後から少しずつ変化します。日々の水分や料理の油分が土に染み込み、数ヶ月、数年と使い続けるうちに表面がなめらかになり、独特の艶が生まれてきます。陶芸の世界では「器を育てる」と表現されるこの経年変化こそが、備前焼を愛用する人々が惹きつけられる理由です。

備前焼の使い始め|最初にやるべき2つのこと

備前焼を手に入れたら、最初の扱いが肝心です。難しい工程はありませんが、他の陶器と混同してしまいがちな「目止め」の話も含め、正しい順序をお伝えします。

まず中性洗剤でやさしく洗う

備前焼が届いたら、まず中性洗剤とやわらかいスポンジで全体をやさしく洗ってください。製造・輸送の過程でついたほこりや汚れを落とすためです。金属タワシやクレンザーは、表面を傷つける原因になるので使わないようにしましょう。洗い終わったら、布巾で水気を拭き取り、しっかりと乾燥させます。

備前焼に目止めは不要——その理由

信楽焼や萩焼などの多孔質な陶器は、使い始めに「目止め」(米のとぎ汁や片栗粉水で煮る処理)が必要です。しかし備前焼は目止め不要です。焼き締めの製法により土の密度が高く、水や汚れをほとんど吸わない構造になっているからです。無理に目止めを行う必要はありません。

他の陶器の目止めについて詳しく知りたい方は、陶器の目止めとは?やり方・必要な器・頻度を元料理人が解説もご覧ください。

使う直前に水へ浸す「一手間」

洗って乾かした後、使う直前に器を30秒〜1分ほど水に浸すか、水をさっとかけてください。備前焼の表面を水分で満たすことで、料理の色素や油分が土に染み込みにくくなります。また、水を含んだ土は色が鮮やかに見え、料理をより美しく引き立てます。元料理人として厨房に立っていたとき、この一手間が料理の見栄えに大きく影響することを実感してきました。

備前焼の日常お手入れと使用上の注意

日々の使い方と注意点を押さえることで、備前焼は何十年も使い続けられる器になります。難しいことはありません。基本の3つを覚えておけば十分です。

使った後はしっかり乾かす

使用後は中性洗剤で洗い、布巾で水気を拭き取ってから十分に乾燥させてください。備前焼は水分の吸収が少ないとはいえ、濡れたまま食器棚にしまうと、カビや臭いの原因になることがあります。洗い後は風通しのよい場所でしっかり乾かすのが基本です。

食洗機の使用については器によって異なります。基本的には手洗いが安心で、その理由は陶器は食洗機でNGな理由|元料理人が教える見分け方と正しいお手入れで詳しく解説しています。

急激な温度変化に注意する

備前焼は釉薬がない分、急激な温度変化に比較的弱い面があります。熱い状態の器を急に冷水に入れたり、冷えた器に熱湯を注いだりするのは避けてください。また、電子レンジは器によって使用可能なものもありますが、直火は厳禁です。お酒(徳利)を温める際は、電子レンジか湯煎で別の容器を使うのが安心です。

テーブルへの傷に気をつける

備前焼は釉薬がなく器肌が粗いため、木製テーブルや漆器の上に直接置くと傷がつくことがあります。布製のコースターや敷物を敷いて使うと安心です。塗り物の膳の上に置く場合は特に注意してください。

使い込むほど美しく育つ|元料理人が見た備前焼の「育て方」

備前焼の本当の魅力は、使い始めてから時間が経つほど深まります。ここでは、元料理人として実際に使い込んだ経験から感じた「育て方」をお伝えします。

日々の使用そのものが「育て」になる

料理の油分、お茶の茶渋、水の成分——これらがゆっくりと土に染み込み、器の表面を変えていきます。使い続けることで土肌がなめらかになり、独特の光沢が生まれてくるのが備前焼ならではの変化です。特別な処理は必要ありません。毎日使い続けることが最高のお手入れです。

もしカビや汚れが気になってきたら、常温の水から少しずつ温度を上げてゆっくり煮沸すると、頑固な汚れも落とせます。茶渋やコーヒーの染みは、ごく薄めた漂白剤で対応できます。

元料理人が感じた「育った器」と料理の関係

実際に備前焼を使い込んだ経験から言えば、育った備前焼の表面は料理の色をより引き立てると感じています。煮物の飴色、刺身の赤身、青菜の緑——どれも備前焼の素朴な土の色合いとのコントラストが際立ちます。「器は、料理があって初めて完成する」という私たちの考えは、備前焼を使い込んできた経験からも裏付けられています。

万が一、使い込んだ備前焼が割れてしまっても、金継ぎで修復することで、さらに個性的な表情を持つ器として生まれ変わります。

よくある質問

Q. 備前焼に目止めは必要ですか?

備前焼は目止め不要です。1,200℃以上の高温で長時間焼き締めることで、土の密度が高く水や汚れをほとんど吸わない構造になっています。ただし、使う前に水に軽く浸すと色が鮮やかになり、汚れも染み込みにくくなります。

Q. 備前焼は食洗機で洗えますか?

一般的には手洗いが推奨されます。食洗機の高温・強い洗浄力が、土肌の経年変化を損なう可能性があります。ただし作家や窯元によって対応が異なるため、購入時に確認するのが確実です。日々の手洗いの習慣が、器を長く美しく保つことにもつながります。

Q. 備前焼が割れたり欠けたりしたらどうすればよいですか?

金継ぎによる修復がおすすめです。金継ぎは割れた器を漆と金粉で修復する日本の伝統技術で、修復後は独特の美しさが加わります。いとをかしでは、当店でご購入いただいた器の無料金継ぎ修理を生涯にわたって承っています。

Q. 備前焼の表面がザラザラしているのは不良品ですか?

不良品ではありません。釉薬を使わない焼き締めの器は、表面が素地のままで粗く感じるのが正常です。この独特の手触りも備前焼の魅力のひとつです。使い込むうちに自然となめらかになっていきます。

Q. 備前焼の汚れが取れないときはどうすればよいですか?

常温の水に浸けた状態から少しずつ沸騰させる「煮沸」で、頑固な汚れや油分を落とせます。茶渋・コーヒー染みには、ごく薄めた漂白剤を数分浸透させた後にすすぐ方法が有効です。急に熱湯をかけるのは割れの原因になるため、必ず水から温度を上げてください。

いとをかしが選ばれる理由

私たちいとをかしが多くのお客様に選んでいただける理由は、器に対する真剣な向き合い方にあります。

生涯破損保証と無料金継ぎ

当店でお買い求めいただいた器が割れてしまった場合、生涯にわたって無料で金継ぎ修理をお受けします。金継ぎは割れた器を漆と金で修復する日本の伝統技術。修復後は「直しの跡」がひとつの景色となり、器にさらなる深みが生まれます。大切な器をずっと使い続けたいという方には、大きな安心感をお届けできるサービスです。

産地直送と元料理人の目線で選んだ器

当店の編集部には元料理人のメンバーがいます。産地を直接訪れ、職人の手仕事を間近で見て、実際に料理を盛りつけた上で「この器に盛ると美しい」と確信できたものだけを取り扱っています。「器は料理があって初めて完成する」という信念のもと、食と器の一体感を伝える器を産地直送でお届けします。

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まとめ

備前焼の使い始めに必要なことをまとめます。まず中性洗剤でやさしく洗うこと。備前焼に目止めは不要ですが、使う直前に水に軽く浸す一手間を加えることで、汚れが染み込みにくくなり料理の見栄えも格段によくなります。使用後はしっかり乾燥させ、急激な温度変化を避けて大切に扱ってください。

そして何より、毎日使い続けることが最高のお手入れです。使い込むほどに土肌がなめらかになり、独自の艶が生まれてくる——それが備前焼の最大の魅力です。「育てる器」を日々の食卓に加えてみてください。

備前焼が割れてしまった際の対処については、割れた茶碗の金継ぎ完全ガイド|費用・依頼手順を元料理人が解説も参考にしてください。また、他の陶器の目止めについては陶器にコメのとぎ汁で目止めを|やり方と元料理人の失敗しないコツで詳しく解説しています。

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いとをかし編集部は、元料理人のメンバーを中心に、器と食の関係を深く探求しながら伝統工芸品の魅力を発信しています。

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