和食器の毒性・安全性の確認方法|元料理人が教える安心な選び方
毎日使う和食器に、毒性のある物質が含まれているとしたら——。子どもの食器を選ぶとき、古い器を使い続けるとき、輸入食器を手にするとき、ふとそんな不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
和食器の毒性・安全性を確認することは、日々の食卓を安心なものにするために欠かせない知識です。この記事では、元料理人として長年厨房に立ってきた私たちが、有害物質の基礎知識から日本の規制基準、自分でできる安全性の確認方法まで実践的にお伝えします。
和食器の毒性に関わる有害物質とは?
和食器の毒性を語るとき、特に注目すべきは鉛(Pb)とカドミウム(Cd)の2種類の金属です。これらは陶磁器の絵付けや釉薬(うわぐすり)に歴史的に使われてきた物質であり、現代でも一部の器には残っている可能性があります。
鉛・カドミウムが使われてきた背景
鉛は釉薬を低温で溶かし、器に美しい発色をもたらす効果があります。カドミウムは赤・黄・橙色の鮮やかな上絵具(うわえのぐ)の成分として長く使われてきました。発色が良く扱いやすいため、近代以前の陶磁器製造には欠かせない素材でした。
しかし、鉛は神経系に、カドミウムは腎臓に悪影響を与える可能性があるとして現在は厳しく規制されています。食器から溶け出した金属が食品を通じて体内に蓄積されることが問題視されています。
上絵付けと下絵付け、安全性の違いを知る
陶磁器の絵付けには大きく2種類あります。上絵付け(うわえつけ)は焼成後の釉薬の表面に絵具を乗せる技法で、酸性の食品や経年劣化の影響を受けやすい性質があります。一方、下絵付け(したえつけ)は焼成前に描いて釉薬で覆うため、絵具と食品が直接触れる機会が少なく、安全性が高いとされています。
特に注意が必要な器の特徴として、以下を覚えておきましょう。
- 鮮やかな赤・黄・橙色の上絵付けがある古い器
- 1990年代以前に製造された器(現行規制前の製品)
- 産地・製造元が不明な安価な輸入食器
- 骨董品・アンティーク食器
日本の食品衛生法と和食器の安全基準
日本では食品衛生法に基づき、食器から溶け出す鉛・カドミウムの量に厳格な基準が設けられています。この規制により、国内で正規に製造・販売される和食器は安全基準を満たすことが義務付けられています。
鉛・カドミウムの溶出基準値(参考)
日本の食品衛生法では、陶磁器からの溶出量が以下の通り規制されています(器の形状・サイズにより基準値は異なります)。
- 鉛:フラット食器(平皿類)で2.5mg/L以下
- カドミウム:フラット食器で0.25mg/L以下
この基準はWHOや国際機関の指針を参考に設定されており、日常的な使用において安全性が確保されています。
国産品と輸入品の安全性の違い
有田焼・波佐見焼・九谷焼・美濃焼などの伝統的な国産産地の器は、食品衛生法に準拠した原料と製法で作られており、安全性の根拠が明確な信頼できる選択肢です。
一方、規制が緩い国で製造された輸入食器には、基準を超える鉛・カドミウムが溶出するケースが国際的にも報告されています。価格だけで選ばず、産地と製造元が明確な国産品を選ぶことが安全性を高める基本です。
また、陶器と磁器では素地の性質も異なります。日常使いに向く素材の違いについては、陶器と磁器、毎日使うならどっち?もあわせてご覧ください。
和食器の安全性を確認する3つの方法
実際に器の安全性を確認するには、どうすればよいのでしょうか。元料理人として数多くの器を選んできた私たちが、自分でできる3つの確認方法をお伝えします。
1. 産地・窯元・販売元を確認する
器の底面(高台)には多くの場合、窯元のマークや産地の印が入っています。産地が明確で、信頼できる販売元から購入することが安全性を確認するうえで最も確実な方法です。
当店では、長崎県波佐見町の窯元で食品衛生法に準拠して製造された古染十草 お茶碗 波佐見焼など、産地直送の国産器のみを取り扱っています。購入前に産地・窯元を確認できる環境を整えることが、安全性の担保につながります。
2. 使い方と保管に注意する
酢・レモン・梅干しなど強い酸性の食品を長時間盛りつけることは、釉薬に影響を与え、微量の金属が溶け出すリスクを高める可能性があります。また、電子レンジや食洗機の使用が推奨されていない器への使用も、釉薬を傷める原因になります。
器ごとの正しい使い方については、食洗機でダメな食器とは?素材別NGリストも参考にしてください。
3. 器の状態を定期的に点検する
ひびが入った器や釉薬が剥げた部分のある器は、そこから細菌が繁殖したり、素地が食品と直接触れたりするリスクがあります。定期的に器の状態を確認し、損傷が見つかったら修理か買い替えを検討しましょう。
器を長く安全に使い続けるためのお手入れ方法は、器を長く愛用する方法5選に詳しくまとめています。
よくある質問
Q. 古い和食器を日常使いしても大丈夫ですか?
産地が明確で1990年代以降に製造された国産品であれば、基本的に安心してお使いいただけます。ただし、鮮やかな上絵付けのある古い器や骨董品には現行基準を超える鉛が使われている可能性があります。不安な場合は産地が明確な現代の国産器への切り替えをおすすめします。
Q. 子ども用の食器はどう選べばよいですか?
日本製で産地・窯元が明確な、シンプルな白磁が特に安心です。鮮やかな上絵付けの多い器は避け、食品衛生法に準拠したメーカーの製品を選びましょう。電子レンジや食洗機への対応可否も事前に必ず確認することをおすすめします。
Q. 金継ぎした器は食器として安全に使えますか?
本漆を使った金継ぎは、完全に硬化(目安として約1〜2ヶ月)すれば食器として安全にお使いいただけます。合成樹脂系の代用漆を使用した場合は食品安全性の確認が必要です。いとをかしでは本漆を使用した安全な金継ぎのみを提供しています。
Q. 輸入食器の安全性を確認する方法はありますか?
販売元に食品衛生法への適合証明書や第三者機関の試験結果を確認することが一つの手段です。証明書の提示ができない製品は避けるのが賢明です。安全性に不安がある場合は、産地が明確な国産器を選ぶ方が確実といえます。
いとをかしが選ばれる理由
当店「いとをかし」は、有田焼・波佐見焼など日本各地の信頼できる産地から直接仕入れた国産品のみを取り扱っています。食品衛生法に準拠した安全な器を厳選し、産地・窯元が明確な商品だけをお届けしています。
元料理人として実際に料理を盛りつけて選んだ器は、酸性の強い和食の盛りつけにも長期間安心してお使いいただける品質を確認したものばかりです。マット釉 ネスティングハンドルマグ 有田焼 ブルーなど、産地直送の器をぜひご覧ください。
また、当店では購入した器が割れても無料で金継ぎ修理を承る「生涯破損保証」を設けています。本漆を使った安全な金継ぎで修復し、長く愛着を持って使い続けられる器をお届けしています。
▶ いとをかしの和食器をチェックする
まとめ
和食器の毒性・安全性を確認するポイントをまとめます。
- 鉛・カドミウムが主な有害物質。鮮やかな上絵付けの古い器や産地不明の輸入品には注意が必要
- 日本の食品衛生法により、国産の和食器は溶出基準値を満たすことが義務付けられており、国産品は安全性が高い
- 安全性の確認は「産地・窯元を確認する」「使い方に気をつける」「器の状態を定期点検する」の3つが基本
毎日使う食器だからこそ、産地が明確で安全性の確保された器を選んでいただきたいと思います。当店では国内産地の器を厳選し、安心してお使いいただける和食器をお届けしています。
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いとをかし編集部は、元料理人のメンバーを中心に、器と食の関係を深く探求しながら伝統工芸品の魅力を発信しています。
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