萩焼は食洗機で使える?元料理人が教える正しいケアと注意点
「萩焼を食洗機に入れていいのかな」——そう迷ったことはありませんか。忙しい毎日の中で、食洗機はとても便利な存在です。でも、手間をかけて選んだ萩焼だからこそ、正しい扱い方を知っておきたいものです。
結論から申し上げると、萩焼を食洗機で洗うことは避けることをお勧めします。陶器特有の吸水性と、食洗機の高温・強力洗剤の環境が合わないためです。この記事では、元料理人として長年器と向き合ってきた私たちの視点から、萩焼と食洗機の関係を丁寧に解説します。正しいお手入れ方法も合わせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
萩焼とは?食洗機との相性を知るための基礎知識
萩焼は山口県萩市を産地とする陶器で、400年以上の歴史を持ちます。「一楽二萩三唐津」と称えられ、茶の湯の世界で特に珍重されてきました。食洗機との相性を正しく判断するには、まず萩焼の素材的な特性を理解することが大切です。ここでは萩焼の基本と、食洗機の洗浄環境が与える影響について、順を追って解説します。
萩焼の特徴——吸水性の高さと貫入(かんにゅう)の仕組み
萩焼は陶土を主原料とした陶器(土もの)です。磁器(石もの)とは異なり、素地に多くの気泡を含んでいます。そのため吸水性が高く、液体をゆっくりと吸い込む性質があります。
また、萩焼には「貫入(かんにゅう)」と呼ばれる細かなひびが入っています。これは釉薬と素地の収縮率の差によって生まれるもので、萩焼特有の表情でもあります。この貫入を通じて、お茶や料理の汁気が少しずつ素地に染み込み、器の風合いが育まれていきます。貫入の仕組みについては、貫入とは?陶器に入るひびの仕組みと器を育てる楽しみ方でも詳しくご説明しています。
食洗機の洗浄条件が陶器に与えるダメージ
一般的な家庭用食洗機は、50〜75℃の高温のお湯と、アルカリ性の強い専用洗剤を使用します。さらに高圧の水流で汚れを落とします。磁器はガラス質の釉薬で表面が覆われているため、この洗浄環境に比較的耐えられます。一方、吸水性の高い陶器にとっては、過酷な環境です。
陶器全般の食洗機との相性については、陶器は食洗機で使えない?元料理人が教える正しいケアと長持ちのコツもあわせてご覧ください。
萩焼を食洗機に入れてはいけない3つの理由
萩焼が食洗機に向かない理由は、大きく分けて3つあります。それぞれが萩焼の美しさや風合い、そして器の寿命に直結する問題です。具体的に解説していきます。
洗剤成分が素地に浸透して変色・臭いの原因になる
萩焼の高い吸水性は、食洗機の強アルカリ性洗剤をそのまま素地に吸い込むことを意味します。洗剤成分が残留すると、器が白く変色したり、使うたびに洗剤の臭いが気になったりすることがあります。
料理を盛る器として、臭い移りは深刻な問題です。元料理人として申し上げると、せっかくの料理の香りが洗剤の臭いで損なわれてしまうのは、料理にとっても器にとっても本意ではありません。器と料理は一体であってこそ、互いの美しさが引き立つものです。
「萩の七化け」が意図しない急激な変化を起こす
萩焼の最大の魅力のひとつが「萩の七化け」です。使い込むうちに、お茶や料理の成分がゆっくりと素地に染み込み、器の肌色や風合いが少しずつ変化していきます。この自然な経年変化こそが、萩焼を「育てる楽しみ」として愛される理由です。
ところが食洗機の高温と強力な洗浄力は、この変化を急激かつ不均一に引き起こします。食洗機による変色は、長年丁寧に使い込んで得られる自然な七化けとは全く異なります。器への愛着が育まれる過程を、食洗機の一回の洗浄が台無しにしてしまうのです。
高温によって釉薬が剥がれ、器の強度が落ちる
食洗機の高温は、萩焼の釉薬と素地の間に熱膨張の差を生じさせます。これを繰り返すことで、釉薬が剥がれたり、貫入が広がりすぎて破損につながったりするリスクがあります。一度このダメージが起きると、器の風合いが損なわれ、修復も難しくなります。
萩焼を長持ちさせる正しいお手入れ方法
萩焼を末長く美しく使うためのお手入れ方法をご紹介します。手洗いが基本ですが、ちょっとしたコツを知っておくだけで、器が格段に長持ちします。使い始めの処理から日常のケアまで、順を追って解説します。
使い始めに一度だけやる「目止め」処理の手順
新しい萩焼を使い始める前に、目止め(めどめ)を行いましょう。目止めとは、素地の細かい孔を塞いで、急激な吸水や汚れ・臭いの染み込みを防ぐ処理です。
手順は以下の通りです。
- 器を水に15〜20分ほど浸して、素地をしっかり湿らせます
- 米のとぎ汁(または薄いお粥)を鍋に入れ、器を沈めます
- 火にかけて沸騰したら、弱火で10〜15分ほど煮ます
- そのまま自然に冷まし、水でやさしく洗い流します
- ふきんで水気を拭き取り、十分に乾燥させます
この目止めによって、汚れや臭いが染み込みにくくなります。基本的に一度行えば十分ですが、長期保管の後や臭いが気になった際に再度行うと効果的です。
日常の手洗いと乾燥・保管のポイント
日々のお手入れは、ぬるめのお湯と柔らかいスポンジでの手洗いが基本です。食洗機用の強力洗剤は避け、台所用の中性洗剤を薄めて使います。たわしや硬いブラシは釉薬を傷つけるため使わないでください。
洗った後は、水気をふきんで拭き取り、底(高台)まで完全に乾燥させてから収納します。湿った状態で重ねると、カビや臭いの原因になります。乾燥には自然乾燥で30分ほどを目安にしてください。
磁器など食洗機対応の器との違いをさらに詳しく知りたい方は、磁器は食洗機で使える?元料理人が教える正しい使い方と注意ポイントもご参考ください。
よくある質問
Q. 萩焼は食洗機で洗えますか?
基本的にはお勧めできません。萩焼は吸水性の高い陶器で、食洗機の高温・強アルカリ洗剤が素地に浸透し、変色や釉薬の剥がれを引き起こす可能性があります。柔らかいスポンジとぬるま湯で手洗いし、十分に乾燥させる方法が最適です。
Q. うっかり食洗機で洗ってしまった場合はどうすればいいですか?
1〜2回程度であれば、すぐに十分乾燥させてしばらく様子を見てください。変色が気になる場合は、米のとぎ汁での目止め処理が有効なこともあります。釉薬が剥がれてしまった場合は、金継ぎ修理をご検討ください。
Q. 萩の七化けとは何ですか?
萩焼を使い続けることで、茶や料理の成分がゆっくり素地に染み込み、器の色や風合いが豊かに変化していく現象です。「七回も変化する」ほど多様な変容をみせることからそう呼ばれます。自然な変化を楽しむためにも、手洗いでゆっくりと育てることが大切です。
Q. 目止め処理は毎回必要ですか?
基本的に使い始めの一度だけで十分です。その後は使い込むほどに器が自然に育っていきます。ただし、長期保管の後や汚れ・臭いが気になる際に再度行うと効果的です。手順はシンプルなので、ぜひ一度試してみてください。
いとをかしが選ばれる理由
私たちいとをかしは、元料理人のメンバーを中心に、器を「料理を美しく魅せる表現の舞台」として選び抜いています。萩焼のような繊細な器を長く愛用していただくために、当店ならではのサービスをご用意しています。
最大の強みは、生涯破損保証と無料金継ぎサービスです。当店でお求めいただいた器が万が一割れてしまった場合、無料で金継ぎ修理をお受けします。金継ぎとは、割れた器を漆と金粉で修復する日本古来の技法です。修復後の器は、割れ目が金色の継ぎ目として残り、唯一無二の美しさを纏います。
また、日本各地の産地から厳選した本物の手仕事品をお届けしています。元料理人として実際に料理を盛りつけて確かめた器のみを取り扱っています。「毎日食洗機で洗える器も使いたい」というお客様には、磁器の古染十草 お茶碗 波佐見焼のような日常使いしやすい器も豊富に揃えています。
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まとめ——萩焼は手洗いで育てることが最大のコツ
この記事で解説した「萩焼と食洗機」のポイントを整理します。
- 萩焼は吸水性の高い陶器で、食洗機の使用は基本的にNG
- 強アルカリ洗剤が素地に浸透し、変色・臭い移りの原因になる
- 食洗機の熱が「萩の七化け」を意図しない変化に変えてしまう
- 使い始めの目止め処理と、ぬるま湯での手洗いが基本
- 洗った後は十分に乾燥させてから収納する
萩焼は、手をかけて育てるほどに味わい深くなる器です。食洗機の便利さに頼らず、やさしく手洗いする。その小さな積み重ねが、器と料理の一体感を深めていきます。
いとをかしでは、大切な器が割れてしまっても、生涯破損保証で金継ぎ修理をお受けします。長く使い続けることを前提に器を選びたい方は、ぜひ当店のラインナップをご覧ください。
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